ゾッとする話~ひじりんの先輩の場合~

怖い話が好きだ。

もうめっちゃくちゃ、怖い話が好き。

三度の飯より好き。

 

ホラー映像何連発!みたいな安っちい特集ですら私にとってはもう宝の宝庫。

昔毎週やっていた「本当にあった怖い話」特集もテレビの上で正座して見て見終わったら怖すぎたせいで兄のベッドに忍び込んで一緒に寝てもらった。

 

寝てもらったっつーか押しかけてた。そんなに怖いならやめろって怒られるんだけど、怖い話っていうのは怖いから楽しいのであって、もういわば麻薬。怖い話キメてぇ……みたいな気持ちだからそんなまともなツッコミとか響かなさが尋常じゃない。

 

でも人間っていうのは悲しいかなよくばりな生き物で、

成長するにつれ、怖い話の本やら、2ちゃんねるの意味怖やら洒落怖とかを読みつくしてしまった私はもう、黒髪白ワンピースの女くらいじゃビビらなくなってしまった。

 

怖い話は怖いから面白いんだ。怖くなかったら、ただの未確認生物の番組みたいになる。

 

あの長黒髪白ワンピース女が出た!!とか言われても、もう番組プロデューサーみたいな気持ちで「うん、出たとこまではみんなもうやってるわけ。これからの時代、出るくらいじゃ生き残れないよ? もっとイノベイティブに進化していかなきゃ。若い子に取り残されていいわけ?」とか言いながらメガホンをカンカンしたい気持ちになる。

 

でも冷静に考えてみて欲しい。

体験談としてネットとかで見ると、フーンてなる白ワンピース黒髪女だけどさ

やっぱり実際見たら全身の毛穴が開くくらい怖いと思う。そこは認めていかなきゃダメ。やっぱりすごい。死んでから出るっていうのは、もうヤバい。すこい。

 

そこらへんのアイドルばりに、ネットとかで見かけた時は「えーあの子別にかわいくなくない?」とか言っちゃっても本人目の前にしたらあまりの顔の小ささに「オーラが違う」とか急に言い始めちゃうんだと思う。

幽霊とかもうオーラすごそうだし。多分和田アキ子くらいオーラ出せそう。

 

つまり、もっとこう身近にグッと感じれるような形で、こういうお化けたちの話を聞かなきゃいけないんだと私は結論を出した。

 

じゃあ直接私が幽霊見れるように墓場に忍び込もう、とかはできない。

そこまでの肝っ玉は、ない。それはね、控えめに言って何も出なくても雰囲気だけで怖すぎてチビッちゃうからやんない。

嫌でしょ? 結果お化け的なものは何も出なかったけどチビりました。みたいな報告されてもさ。

やっぱり怖いんだなって思うより私のことを皆チビッた女として見始めるじゃない。

それは嫌よ。うら若き乙女だから。

 

そこで私は、周りの人間に怖い話がないかどうか聞き始めた。

特に好きなのはタクシーの運ちゃんの話。やっぱりね、夜に色んな人と関わる人の話はもうベタな怪談を絶対持ってる。

深夜に拾った女がよくいつの間にかいなくなってるし、なのに運転席のシーツはぐっしょりしてたみたいなのやりがち。でもネットとかじゃなくて目の前のおじさまが実際に体験されてる話だからもうウギャー―ッてなる。具体的な地名とかもめっちゃ出てくるし、えーーーあそこですか!? そうそうすぐそこでの話だよ、えーーーもうあそこ通れない!! これこれ、この臨場感だよスゥハァスウゥハァ、トレビアン!!!!!!!

 

待って、引かないで。まだギリギリうら若き乙女でしょ。

まだセーフでしょ。

 

で、ある日、一緒に営業に行ってる先輩にも聞いてみた。

 

先輩最近ゾッとするような経験ありましたか?と。

 

 

すると先輩は何でもないような顔で「嫁にそろそろ殺される気がするんだよね」とへらへら笑いながら言った。

私はうんざりした。もーいい。嫁怖い話、夫うざい話は既婚者から聞き飽きているの。

嫁怖い話は男性の持ちネタかっていうくらい持ってる人が多いし、夫がこれくらいうざいって話もこれまた女性の持ちネタかってくらい持ってる人が多い。

 

そして実際聞くと大したことないことも多い。愚痴るくらいならクレバーに抱いてやれよ。

 

――という私のチベットスナギツネ顔に先輩は気づいたのか気付かなかったのか、話を続けた。

 

先輩「こないだ、嫁と話しててさ」

私「はい」

先輩「話してた芸能人の名前がどうしても思い出せなかったから、ちょっと携帯で調べようと思って」

私「よくありますよね」

先輩「たまたま近くに嫁の携帯があったから調べようとsafari開いてグーグルの検索欄をポチったわけ」

私「ほう」

先輩「そしたらあれってポチると、最近検索した項目とかが出てくるじゃん?」

私「はい」

先輩「一番上に『夫 殺害方法』って書いてたんだよね」

 

吹きだした。

いや、笑いごとではないんだけどあまりにもストレート過ぎて笑った。

 

私「殺害が決定事項になっていて、手法について考えてるあたりがゾッとしますね」

先輩「いや、もう僕もビビり倒してさ、何だよこれ!!って嫁に携帯見せたら、まったくの動揺なしに『バレたか』って言われたんだよね」

私「怖ぇ!!!」

先輩「最近よく歯みがきしてる最中にぶつかってくるなぁ、不思議だなぁとは思ってた」

私「笑えないです」

先輩「笑わそうとしてないよ僕も」

 

歯ブラシを喉にガってするつもりや。なんて華麗なるアサシン。

この人もこの人でちゃらんぽらんで朝帰りとかしたり、女の子とちょっとアレなLINEして遊んだりするので同情心は2ミリくらいしか湧いてこないが、なんて恐ろしい話。

久々に心にグッと来た。怖すぎてちょっと心がときめいた。

 

やっぱり一番怖いのは人間だよねつって。

まあ一番怖いのは月曜日から昼休みだからってこんなアホなブログ書いてる私なんですけど。AHAHA!

 

いい怖い話あったら教えてください☆彡