1年かけて親友を茅ヶ崎至にハマらせた話
--親友が、A3を始めた。
これはとても凄いことなので、祝って欲しい。
私の親友。
彼女は非常にエキセントリックな性格で
とっても可愛い容姿をしているくせに
非常に残念な、そんな所が更に愛しい友人である。
オタクにも理解があるし、自分の親友が腐女子なのも理解をしてくれる
素晴らしい存在だが、普通に高校一年生の時にナンパされて今も仲の良いパンピーな友人なのである。
だが、反対に私はオタクだった。
ゴリゴリオタクマウンテンゴリラである。
そしてオタクなら、きっと皆分かってくれると思うのだけれど、
自分の好みのものを、人に押しつけて染めることが大好きである。
漫画を押しつけて、ハマってもらって、
自分と同じキャラを好きになってもらった日なんてもう最高
達成感と高揚感でいっぱいになって、何故か元々好きだったキャラへの愛情も上がる……
何か一緒に恋し直してる気持ちになる。ならない?
私はなるんだよなあ……んーエクスタシー↑
そんな訳で、私は自分が好きなものがあったら
すーぐに親友に布教していた。
その時その時ハマっていたものは多分全て紹介していたと思う。
何でそんなことが出来るかというと、私と親友は、何の決まりか知らないが
毎日LIME(あえての表記)をしていたからだ。
何でかは聞かないで欲しい。
私達も何でなのかは分からないのだから。
お陰でお互い社会人となった今でもお互いの近況を知り尽くしていた。
気持ち悪っ
高校時代から、とにかく私は布教した。親友は毎度毎度付き合ってくれた。良い奴。
でもドハマりすることは滅多になかった。その場では楽しんでくれるが、
やはりパンピーとオタクの違いなのか、
私がものを好きになるとき「うわやばいこれについて全てを知りたい骨の髄まで」と
なるのに対して、親友は「あー楽しかったなあ。みつを」という感じで終わる。
これが、これがオタクになるものとならざるものの遺伝子の違いか。
私はいつしか諦めていた。
そして私達は社会人となった。
私は社会人となった時に、熱心なフォロワーのせ・・・OKAGEでソーシャルゲームの存在に触れることになった。
その中でも特に熱心に勧められてハマったのが
アイドリッシュセブンとA3だった。
まあーハマった。嘘。今もハマってる。
ハマりing。
特にA3はばんばん二次創作を書いてしまうレベルでどえれぇハマったので、私は親友に布教した。
もはやA3の回し者なのか疑われるレベルで布教した。
パターン1
友「最近東京に出てきてからホームシックやわ」
私「ほう! そんなあなたにA3。今ならこのアプリをダウンロードするだけ!」
友「めんどくせぇ」
私「そう言われると思ってURLをここに貼っておいた! 押せ!」
パターン2
友「暇やからご飯いこうぜ」
私「残念ながら今日は残業だからいけない。でもあなたには! なんと! 複数人のイケメンと過ごす権利が!」
友「A3だろ」
私「何故分かったァ!!」
親友は特にソシャゲには厳しく、中々ハマってくれなかった。その理由は2つある。
①私がばんばん課金していたからだ。
ソシャゲ=課金だと彼女の中では刻まれていた。
私が悪い模範となっていた。コンチクショウ。
そんなことはない。無課金でだってとっても楽しめるゲームです。ホントダヨ。
②パンピーは意外とせっかちさんだ。
すぐ観れるアニメ、すぐ開けるマンガ、行ったら見るしかないライブや映画と違い、ソシャゲには待ち時間がある。
ダウンロード時間やチュートリアル、そして基本操作の説明。
実際一回私に折れてアプリを入れてくれた彼女も、せっかちさんが故に「なんかいきなりカタコトでダウンロード中ダヨ…!て言われてよく分かんなかったから消した」と言われて、シトロン!!!!!!と嘆いた。
その音声は待てないガールのための配慮だろうに、せっかちさんは残酷だ。
以降も、少年漫画好きの彼女に「騙されたと思って夏組まで進めてみ? 熱くなれるぞ? 熱い物語があなたのハートを打つぞ?」とオタク特有の早口で持ちかけてみたが、「あなたったら違う男の話ばっかり! あたしはどうなるの!?」と唐突なエチュードを持ちかけられたりして不発に終わった。
私もノリと口先だけで生きてるので、そんなこと言われたら乗らざるを得ないのだ。ああ悲しきバカ。
しかし、その日は来た。
それはいつものくだらない話の延長線だった。
彼女が私にボーカロイドのとある曲を紹介してきたのだ。
私はその曲を聴いて安易にはまり、妄想を膨らませた。そしてお前のセンス最高と称賛を送った。
しかしそうやって何かを紹介されると
何かを紹介し返したくなるのがオタクのサガ…ちがう? 私だけ? オタクの特色だよね。
なので私も紹介した。
その時見ていたものを。
そう、
A3の、
MMDを。
彼女は見てやろう、良いだろうと返事をした。
A3でも十数人登場するMMDだったので、私は見るついでに私の推しを当ててみろとクイズを出した。
すると彼女は、
なんと、彼女は、
「待って、開始10秒で好きなんですけど。
大丈夫ですか? この動画」とLINEをよこした。
私に電流が走った
これは…
これは………!!!
この語彙力のなさ、オタクが何かに目覚めた時のものだ!!!!!!
興奮する私は、あくまで冷静を装いながら「誰がその中で1番好き?」と送った。
正直私の推しを当てるクイズなんてどうでもいい。推しが被ることなんて私たちは一生の中で一度もなかったのだから。
高校時代から、彼女が「王子様のよう」「ワイルドなかっこよさ」「素敵すぎて二次元」と紹介してきた片想い相手に、私はいつも首を傾げるハメになっていたのだから。
露骨な例を出すと、彼女は「外見がドンピシャ」と今まで紹介してきた芸能人は阿部サダヲである。いや、素敵かもしれないけど。うん、彼女とは男性のタイプがあったことがなかった。多分これからも合わないだろうなぁと思っていた。
それでもいいのだ。
A3なら例え誰を好きと言われても「そっちね!!!でもわかるよ!!!!!!」と返す自信があった。もうもはやLINEに「そっちね!!!」と打ち込んで待っとこうかと思うレベルだった。
しかし彼女は私にこう言ったのだ。
「この、ミルクティーカラーの髪の毛の、ピンク色の目してる人がかっこいい」
う、
うそだろ………?????
出会って8年目にして、推しが被った…!?
一体どういうことなんだ…!!!
私は、この人?と確かめるように彼女にA3の茅ヶ崎のスタンプを送った。
私の最推し茅ヶ崎のスタンプである。
彼女は「その人!!!」と食い気味に返事した。
そうか。
それならば話は早い。
私はパッチーンと脳内で指を鳴らし、セバスチャン、例のものを。と呟いた。
いやセバスチャンいないから結局私が用意するんですけどね。
茅ヶ崎至がドエロく活躍しているMMDを彼女に今度は渡したのである。
彼女は、しばらく堪能したのだろう。
既読して10分後にこう送ってきた。
「これはエッチですか?」
彼女はエッチ過ぎる茅ヶ崎に脳内がショートし、中学一年生の英語の例題みたいな返事をするしかないようだった。
私も返事した。
「はい、茅ヶ崎は、エッチです」
グーグル翻訳みたいな返しだった。
しかし私たちはこれだけで通じ合えた。
手と手を握り合った。ラブアンドピース。
世界に平和を。茅ヶ崎にエロさを。
そこからは、早かった。
私は再度彼女にアップルのURLを送った。
さあ、今ですと。
彼女は言った。「覚悟を決めました。推しを見に行きます」と。
推しつったでこの人。早いわ…。
推し認定がまだ早いわ…きっとやり終えたら死ぬわ……。
そんな訳で彼女は今A3をやっている。
やり終えた感想についてもまた面白い名言が止まらないだろうから、また投稿するつもりでいる。カミングスーン。
だけども、私はこう言いたい。
オタ友であろうと、パンピーな友達であろうと、友達を沼に引きずりこむ手段は世の中に沢山あるのだ。
今回はそれがMMDだった。ありがとうMMD職人の皆様。愛しています。
そして諦めるなオタク達。
人類を全て沼に沈めるまで。
敬具。